ごあいさつ
約25年間の青森暮らしを終え、2024年4月1日より田川市美術館の館長に就任いたしました。もともとは1993年から5年間ほど学芸員をしておりましたので、いわば「出戻り」ということになるのでしょうか。学芸員としてのキャリアをスタートさせたところで、またこうして仕事ができることの喜びを噛み締めております。九州とは大きく異なる北の風土/文化と向き合った25年の体験は、福岡、そして筑豊の地域性を俯瞰的にとらえる視点を私に与えてくれたように思います。この経験を活かし、筑豊という地域の特質を多角的かつ客観的に考察した(小規模館だからこそ開催可能な)実験的な企画を、学芸員と協働しながら展開してまいります。日本の近代化を支えた筑豊には、掘り下げていくべきテーマがまだ数多く残されています。アートをはじめとする多彩な表現メディアをとおして、様々な切り口から、その検証と発信を続けていくことが、筑豊の美術館に課せられた使命と言えるのではないでしょうか。
「美術館」はイベントを開催するための「箱」ではありません。筑豊に深く根差した個性的な活動が継続して行われていくアクティブな「現場」であり、多くの人が集い、交流する「空間」であり、その効果を地域コミュニティと分かち合っていくための「装置」であるべきです。筑豊に軸足をおき、その歴史や自然、石炭産業が育んだ独自の炭鉱文化を踏まえ、さらにそこから新しい価値を提示し、多くの人々の創造性が涵養される場となるよう、スタッフとともに一丸となって努力していく所存です。
皆様のご来館を、館員一同心よりお待ち申し上げています。
「美術館」はイベントを開催するための「箱」ではありません。筑豊に深く根差した個性的な活動が継続して行われていくアクティブな「現場」であり、多くの人が集い、交流する「空間」であり、その効果を地域コミュニティと分かち合っていくための「装置」であるべきです。筑豊に軸足をおき、その歴史や自然、石炭産業が育んだ独自の炭鉱文化を踏まえ、さらにそこから新しい価値を提示し、多くの人々の創造性が涵養される場となるよう、スタッフとともに一丸となって努力していく所存です。
皆様のご来館を、館員一同心よりお待ち申し上げています。
2024年4月
田川市美術館館長 工藤健志
撮影:大洲大作
工藤健志プロフィール
1967年 福岡県生まれ。大阪教育大学美術教育学専攻造形芸術学専修修了。
1993年から1998年まで田川市美術館学芸員として勤務。
1998年、青森県立美術館の開館準備室時代から学芸員として在籍し、2022年から2024年まで同美術館の美術企画課長を務める。
主な展覧会は「立石大河亞」(1994年)、「山本作兵衛展」(1996年)、「ロボットと美術」(2010年)、「美少女の美術史」(2014年)、「富野由悠季の世界」(2020年)、「大・タイガー立石展」(2021年)など。
1993年から1998年まで田川市美術館学芸員として勤務。
1998年、青森県立美術館の開館準備室時代から学芸員として在籍し、2022年から2024年まで同美術館の美術企画課長を務める。
主な展覧会は「立石大河亞」(1994年)、「山本作兵衛展」(1996年)、「ロボットと美術」(2010年)、「美少女の美術史」(2014年)、「富野由悠季の世界」(2020年)、「大・タイガー立石展」(2021年)など。